扱う病気について

 肺癌、胸膜中皮腫、転移性肺腫瘍、気胸、縦隔腫瘍、重症筋無力症(手術療法)をはじめ、肺移植適応疾患まで幅広い胸部疾患に対応しております。また、大学の特性を生かし、患者様の同意がありましたら、昨今話題の遺伝子の解析も倫理委員会の承認のもと行っております。特に肺癌ではヒト上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の変異症例でイレッサ、タルセバが著効することが明らかになっており、肺癌のテーラーメード治療に大きな影響を与えております。私たちの使命は、患者さんにご満足のいく治療を提供すること、と考えております。

●肺がんについて

 肺がんは世界的にも悪性腫瘍の死亡者数の第一位、二位となるがんです。岡山大学病院では、実に2000例に近い手術の経験とデータに基づき、適切な手術・治療を行えると考えております。すべての手術について呼吸器外科および呼吸器内科、放射線科との合同検討会で話し合いを行い、患者さん一人一人にとって最適な治療法を選択しています。

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●周術期管理センター(ぺリオ:PERIO)

 手術を安全に行うためには、高い手術の技術だけでは十分とは言えません。周到な手術の準備、術後の回復能の正しい評価、十分なリハビリなどの周術期管理が非常に重要です。特に、近年増加している高齢者の手術を安全に行うためには、こうした周術期管理が大変重要となります。岡山大学病院では、麻酔科医師・歯科医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士が中心となって結成された周術期管理センターを設立しております。呼吸器外科手術を受けられる患者様は全例手術前に受診していただいております。術後の重篤な合併症の減少などの効果を認めています。

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●早期肺がんの外科治療

 早期肺がんに対する低侵襲手術が行われています。「傷の縮小(胸腔鏡手術)」「肺切除量の縮小」「リンパ節切除範囲の縮小」の大きく3つの低侵襲手術があり、岡山大学病院でも科学的根拠に基づいたこれら3つの低侵襲手術を積極的に行っています。早期肺癌では症状はほとんどなく、検診、あるいは他の病気に対する検査により偶然、見つかることが多いです。そのため、驚かれる方が多いですが、治療成績は極めて良好ですのでご安心ください。

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●進行肺がんの外科治療

 岡山大学病院では、局所進行肺がんに対して、術前に腫瘍内科・放射線科と共同で放射線・化学療法(抗がん剤)を行った後に、手術を行うことにより、術後合併症を最小限に抑えながら、5年生存率が60%を超える世界に類を見ない素晴らしい成績を上げています。気管・気管支や肺動脈に及んでいる場合にも、高い技術力のもと、積極的に気管支形成術や肺動脈形成術を行っております。またその他の重要臓器や肺尖部の胸壁に及んでいる肺がんに対しては、必要に応じて心臓血管外科や整形外科と共同しながら、拡大手術を行っています。局所進行肺癌は手ごわい病気ですが、この治療成績も、以前と比べ確実に向上しています。

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●テーラーメード治療と腫瘍バンク

 患者様個人個人のがんの異常の特徴を把握することにより抗がん剤を選択し、個人個人のがんの特徴にあった治療を行うことをテーラーメード治療といいます。肺がんにおけるテーラーメード治療として、EGFR変異陽性肺がんへのEGFRチロシンキナーゼ阻害剤治療や、EML4-ALK 融合遺伝子陽性肺がんへのALK阻害薬治療などが行われています。岡山大学呼吸器外科では、患者様の同意の上、手術で切除した腫瘍の一部を凍結保存する腫瘍バンクを作成しています。腫瘍バンクは将来の再発した場合に、個々の患者様に特有の遺伝子異常などを調べて、その特徴を把握するために非常に重要であり、近年大変注目されています。岡山大学呼吸器外科では、基礎的な研究によるがんの異常の解明に積極的に取り組むことで新しい治療法の確立を目指しており、これまで多くの業績を上げています。

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●胸腔鏡補助下手術(カメラを使った手術)

 岡山大学病院では毎日たくさんの肺がん手術を、経験の多い外科医たちによって行っています。そしてそのほとんどは胸腔鏡(きょうくうきょう)というカメラを使った手術で,患者さんへの体の負担がなるべく小さくなるように工夫しています。

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●臨床試験

 がん治療の発展のため臨床研究は欠かせません。肺がんにおいても治療の進歩のため、岡山大学病院の呼吸器外科では同意を得られた患者様のみを対象として臨床試験を行っております。多くの施設と協力して行う多施設共同研究も中心となって行うとともに、他の施設が中心となっておこなっている多施設共同研究にも積極的に参加することで、肺がん治療成績の向上を目指しています。

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●肺移植 - 岡山大学肺移植プログラム

 1997年、岡山大学において日本初の肺移植が成功し、日本における肺移植がスタートしました。現在では岡山大学を含め7施設が脳死肺移植認定施設となっています。2010年、慢性拒絶反応により機能しなくなった移植肺を入れ替える再移植にも国内で初めて成功しました。岡山大学での年間肺移植数は毎年国内1〜2位であり、これまで日本全国で行われた肺移植総数の約半数となる73例(2010年7月現在)を実施しています。生体および脳死肺移植のエキスパートにより構成された肺移植チームが患者さまの新たな人生のスタートをお手伝いいたします。

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●進行肺癌に対する自家肺移植

 肺の中枢部にできた進行肺がんの手術では、気管支や、血管を合併切除しなければならず、患部を切り取り分断された気管支や血管を体内で吻合するスリーブ切除が行われています。しかし、がんに侵された部分がひろく、切除範囲が大きくなると肺全摘出を余儀なくされているのが現状です。肺全摘では、術後の呼吸機能は大きく低下し、右全摘では45%、左全摘では55%しか残りません。そのため手術後の呼吸不全やquality of life【生活の質】の低下が問題となっています。岡山大学では肺全摘出術が必要と診断された進行肺癌に対し、一旦肺全摘をし、肺移植の技術を使って肺を保存し、その後まだがんに侵されていない部分を体外で切り分け、再び体内に戻す『自家肺移植』に国内で初めて成功しました。
これにより、手術後の呼吸不全は解消され、スポーツができるまでの呼吸機能が温存されます。

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●ラジオ波焼灼術(RFA)による肺悪性腫瘍

 肺の悪性腫瘍(肺がんや転移性肺腫瘍)の低侵襲治療(体に優しい治療)は、近年様々な新しい方法が開発され、応用されるようになってきました。その中の一つがラジオ波を用いた焼灼(温熱)療法で、熱によって腫瘍の細胞を殺してしまう方法です。

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●転移性肺腫瘍

●キュアサルコーマ

 肺がんは大きく分けて2つに分類されます。ひとつは「原発性肺がん」と呼ばれ、肺の細胞から発生した癌のことです。もうひとつは「転移性肺腫瘍、または転移性肺がん」で、他の臓器に発生したがんが肺に転移してくる(とんでくる)ものです。転移性肺腫瘍の治療に関しては、いまも様々な意見があり、いまだ定まった標準治療は無いといってよいでしょう。 岡山大学呼吸器外科では、転移性肺腫瘍に対しても、手術・化学療法・ラジオ波焼灼術を組み合わせて、積極的に治療を行っております。

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●悪性中皮腫について

 アスベストが原因と思われる胸膜中皮腫の多発が確認され社会問題となっています。胸膜中皮腫の危険因子は上述のアスベストが知られており、低濃度の暴露でも胸膜中皮腫の原因となることがわかっています。岡山大学では、悪性中皮腫の手術療法・化学療法・放射線療法を行うとともに、新たな分子標的治療薬を用いた新規治療法の確立を目指した臨床研究も行っております。

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●縦隔腫瘍・重症筋無力症

 縦隔腫瘍の中には、良性のものから非常に悪性度の高いものまで様々のものがあります。したがってその種類によって治療方針が異なり、診断が非常に重要となります。場合によっては治療方針を決定するために、体表から針を刺したり、小手術を行って腫瘍の一部を採ってきて顕微鏡で調べる(病理)「生検」が必要になってくることもあります。 近年では比較的小型の縦隔腫瘍や重症筋無力症に対して胸骨を切らずに手術を行う胸腔鏡下手術も積極的に行っており、患者様にやさしい治療を心がけております。

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●多汗症、気胸、漏斗胸などの疾患

 多汗症(たかんしょう)とは、胸の中にある交感神経(こうかんしんけい)が異常に刺激して手のひらや脇、首まわりなどにたくさんの汗をかく病気です。常に手のひらはビショビショとなり普段の生活や仕事にも支障をきたし精神的に負担になるなら手術による治療が必要です。

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 肺に突然穴が開き、肺が縮む「自然気胸」、肺気腫・結核・肺がんなどが原因で肺に穴が開く「続発性気胸」、肋骨骨折などが原因で肺に穴が開く「外傷性気胸」など、各種気胸の治療を行います。

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 漏斗胸とは、胸のほぼ真ん中で中央よりやや下の部分がへこんでいる胸の形の変形です。生まれたときからへこんでいる子もいれば、徐々にへこみが進んでくる子もいます。また時間の経過とともに,へこみがだんだん右に移っていき、左右非対称になってくることもあります。

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