
重症肺疾患に対する治療手段として肺移植を行っています。

平成22年6月、中枢型進行肺癌に対し自家肺移植に成功 
平成22年6月、肺移植後慢性拒絶反応に対し、肺の再移植に成功(当院73例目) 
平成23年3月、臓器移植医療センターが設立されました。
平成23年11月、スリランカ初となる肺移植に成功(岡山大学肺移植チーム17名派遣)
平成24年2月、当院93例目となる肺移植に成功
岡山大学肺移植チームはスリランカ初となる肺移植に成功しました。
1997年、岡山大学において日本初の肺移植が成功し、日本における肺移植がスタートしました。
以来、岡山大学では国内最多の肺移植経験より培った高い技術と経験豊富なスタッフにより、さらに高水準の肺移植医療をめざし、日々挑戦し続けています。
最近の2年間で岡山大学において肺移植を受けられた方の概略です。
岡山大学における最近2年間の肺移植例
| 移植年 | 通算移植数 | 移植タイプ | 原疾患 | 退院時の状況 |
|---|---|---|---|---|
| 2010年 | 72例目 | 生体肺移植 | 特発性間質性肺炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2010年 | 73例目 | 生体肺移植 | 閉塞性細気管支炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2010年 | 74例目 | 脳死肺移植 | び漫性汎細気管支炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2010年 | 75例目 | 脳死肺移植 | 閉塞性細気管支炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2010年 | 76例目 | 脳死肺移植 | 特発性間質性肺炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2010年 | 77例目 | 脳死肺移植 | び漫性汎細気管支炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2010年 | 78例目 | 脳死肺移植 | び漫性汎細気管支炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 79例目 | 脳死肺移植 | 気管支拡張症 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 80例目 | 生体肺移植 | 特発性間質性肺炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 81例目 | 脳死肺移植 | 肺気腫 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 82例目 | 脳死肺移植 | 特発性間質性肺炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 83例目 | 脳死肺移植 | び漫性汎細気管支炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 84例目 | 脳死肺移植 | 特発性間質性肺炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 85例目 | 脳死肺移植 | エルドハイムチェスター病 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 86例目 | 生体肺移植 | 肺動脈性肺高血圧症 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 87例目 | 脳死肺移植 | 肺静脈閉塞症 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 88例目 | 脳死肺移植 | 肺気腫 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | スリランカ | 脳死肺移植 | 特発性間質性肺炎 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2011年 | 89例目 | 脳死肺移植 | 肺気腫 | 酸素なし、独歩退院 |
| 2012年 | 90例目 | 脳死肺移植 | び漫性汎細気管支炎 | 酸素なし、退院調整中 |
| 2012年 | 91例目 | 脳死肺移植 | 気管支拡張症 | 酸素なし、退院調整中 |
| 2012年 | 92例目 | 生体肺移植 | 特発性間質性肺炎 | 酸素なし、退院調整中 |
| 2012年 | 93例目 | 脳死肺移植 | 薬剤性間質性肺炎 | 酸素なし、退院調整中 |
| (2012年2月現在) |
これまで岡山大学で肺移植を受けられた方の疾患名(人数)は以下の通りです。
| 原発性肺高血圧症 | 23例 |
| 間質性肺炎 | 26例(特発性:18例、その他:8例) |
| 閉塞性細気管支炎 | 12例(うち骨髄移植後:6例、肺移植後慢性拒絶反応による再移植:1例) |
| 肺リンパ脈管筋腫症 | 8例 |
| 気管支拡張症 | 5例 |
| アイゼンメンジャー症候群 | 2例 |
| 肺気腫 | 6例 |
| 肺好酸球性肉芽腫症 | 1例 |
| 嚢胞性肺線維症 | 1例 |
| 肺動静脈瘻 | 1例 |
| 慢性肺動脈血栓塞栓症 | 2例 |
| びまん性汎細気管支炎 | 6例 |
| 合計93例 |
@:脳死肺移植
不幸にして脳死状態(回復の見込みのない脳の死)になられた方の尊い遺志による臓器提供に基づく肺移植で、世界的には最も多く行われている移植です。
ドナーの片肺、または両肺を、移植を受ける方(レシピエント)の片方または両方の肺と入れ替える方法です。
平成22年7月17日より、改正臓器移植法が施行され、脳死下臓器提供数が格段に増加しました。
A:生体肺移植
2人の近親者(20歳以上の三親等以内の親族あるいは配偶者、具体的には、夫あるいは妻、両親あるいは子供、兄弟、姉妹、祖父母、孫、叔父叔母)から左右いずれかの肺の一部(下葉)を提供していただき、レシピエントの両方の肺と入れ替える方法です。
脳死ドナーからの臓器提供だけでは移植を待つ人すべてに臓器が行き渡らない現状の日本においては、脳死肺移植まで生存が難しいと判断された場合の緊急避難的措置として行われています。
健康な方から肺を提供していただくという倫理的問題や、ドナーの方は肺活量が約20%低下するなどの問題もあります。
B:心臓死肺移植
近年世界でも成功例が報告され始めている新しい形態の肺移植です。2007年に帰国した岡山大学肺移植チーフの大藤剛宏はオーストラリア初となる心臓死肺移植の執刀医の一人で、その成功に貢献しました。
心臓が完全に停止してから(心臓死)臓器提供していただく方法ですが、心停止後、肺は障害を受けやすく、技術的に困難な場合が多いのが現状です。
日本においてはまだ研究段階ですが、岡山大学では心臓死肺移植の安全性を確立する研究を進めています。
C:海外渡航肺移植
岡山大学からの斡旋はいたしておりません。
岡山大学では1998年、日本で最初に生体部分肺移植を成功させ、2002年には脳死肺移植も成功し、以降毎年コンスタントに肺移植手術を実施しております。各診療科の
肺移植エキスパートの洗練された技術で多くの患者さまを救命しております。
肺移植の成績は国際心肺移植学会のデータによると、手術成功率90%、1年生存率70%、5年生存率50%といわれています。心臓や肝臓、腎臓移植に比べると肺移植後の成績は厳しいものといえますが、移植肺が問題なく機能すれば呼吸の苦しさから解放され、普通の生活を送ることができます。
岡山大学の肺移植の成績は、現在5年生存率82%(生体肺移植は87%)であり、世界平均の50%と比較するときわめて良好です。ほとんどの方が社会復帰され、充実した人生を楽しまれています。順調に回復された方はスキーやテニス、水泳を楽しまれ、子供さんの場合体育の授業にも参加できるまで回復されます。移植後ご結婚された方もおられます。
一方で、克服しなければならない問題もあります。臓器提供の少ない日本では移植までに病状が悪化し、移植待機中にお亡くなりになる場合もあります。また、有効な治療法の確立されていない移植後慢性拒絶反応に対してもその対策が急がれています。
厳しい病状での移植は、患者さまの体力を考えるとぎりぎりの決断といえます。しかし我々のチームでは、移植前に長期人工呼吸器装着を余儀なくされていた方や、人工心肺装置にて命をつないでいた方など、海外では移植の適応から外れるような厳しいケースでも積極的に移植をおこない、救命のチャンスを提供し、充実した人生を送っていただくことをモットーとして挑戦し続けています。

肺移植後長期生存者の中には慢性拒絶反応を発症される方がおられます。進行が止まらないと再び呼吸困難に陥ってしまう、やっかいな病態です。実際、慢性拒絶反応には有効な薬物治療がなく、世界的にも肺移植後遠隔期の死亡原因のトップになっています。
岡山大学ではこのような患者さまに対し、国内で初めて移植肺を摘出し、新しい肺と入れ替える再移植に成功しました。執刀医の大藤は、海外でも多くの再移植の経験があり、その中には3回の肺移植を受け、その後も元気に生活されている方もおられるくらいです。
いままで克服することが難しかった重症慢性拒絶反応に対しても治療が可能となりました。
肺移植は延命治療ではありません。もう一度普通の人生を取り戻していただくための治療です。
関連記事をご覧ください。
愛知県在住の五十畑さん、重い間質性肺炎を患い、あらゆる内科的治療が施されましたが呼吸困難となり、人工呼吸器を装着し、なんとか命をつないでおられました。「明日はまた会えるだろうか?」看病の後ICUを後にする妻にとっては毎日が底知れぬ不安との戦いした。人工呼吸開始から5ヶ月、余命も悲観的と宣告され肺移植を決意されました。12月、ヘリコプターにて岡山大学に搬送され、直ちに生体肺移植が行なわれました。
移植後、人工呼吸器から離脱、酸素も必要なくなり、再び愛する家族とともに人生を楽しむことができるようになりました。退院後の3月、愛知のご自宅へは五十畑さんご自身が運転する車で帰られました。
詳しくは朝日新聞連載【患者を生きる】をご覧ください。
重症呼吸器疾患であると診断され(詳しい肺移植適応疾患についてはこちら)、考えられるすべての治療手段がすでに尽くされており、予後がきわめて悲観的で肺移植以外には治療手段がないが、移植により症状の改善が期待できる場合、肺移植を考慮すべき時期であると考えます。
まずご本人、ご家族に来院していただき、肺移植医および移植コーディネーターより肺移植についてのご説明をさせていただいております。
ご病状によっては当院外来にお越しいただくことが困難な場合があり、その際はこちらから往診することも可能です。ご相談ください。
肺移植の適応について判断するために、岡山大学に約2週間入院していただき、レントゲン、CT、血液検査、呼吸機能、心臓カテーテル検査などの諸検査を受けていただく必要があります。これらの検査結果に基づき、岡山大学内の肺移植適応判定委員会、中央肺移植適応検討会にて審査を受け、「肺移植の適応あり」と認められた場合に、(社)日本臓器移植ネットワークへ肺移植の待機登録を行います。手続き終了後は、脳死ドナーの出現を待ち、肺移植が行われます。
現在日本では、脳死ドナーが非常に少なく、数年の待機期間を要することが考えられますが、平成22年7月より臓器移植法が改正され、臓器提供の尊い意思が活かされ、移植によって助かる命が増えることを願っています。

脳死ドナーからの臓器提供があると、日本臓器移植ネットワークより血液型、体格、待機時間等を考慮し、公平で且つ最適と思われる移植候補者に連絡が入ります。移植を受ける意思がある場合、直ちに岡山大学に来院して頂きます。これと同時に臓器摘出チームは脳死ドナーのいる病院に向かい、臓器の状態が医学的に移植に適しているか最終判断し、臓器摘出を行います。
移植を受けられるレシピエントは移植の最終説明の後、全身麻酔の準備に入ります。
臓器摘出チームが岡山に到着すると執刀開始です。肺移植手術は8−10時間以上かかる大手術で、30人を超えるスタッフにより行われます。両肺移植の場合、まず心臓外科チームにより人工心肺回路が装着されます。これにより肺を摘出しても体に酸素を送ることができるようになるわけです。つづいて呼吸器外科チームにより両肺の摘出が行われます。移植される肺は気管支、肺動脈、そして肺静脈吻合に適したように入念にトリミングされます。

移植医は気管支・肺静脈・肺動脈の順で片方ずつ肺の移植を行います。吻合が終わると新しく移植された肺に血液が流れ、移植された肺で呼吸が始まります。循環器内科医は心臓の状態や血管吻合部のチェックを超音波検査にて行い、その後集中治療室に入ります。
移植後は集中治療医による厳密な呼吸・循環管理が行われます。移植してすぐには自分で痰を出すことができないため、気管支ファイバースコープにて気管支吻合部をチェックするとともに痰を吸引します。免疫抑制剤投与も始まっており、集中治療医、移植医のみならず、各分野の専門家による日々の検討の中で治療方針は決定されていきます。


全身麻酔からも覚め、徐々に人工呼吸器の助けも必要なくなります。この時期は移植前よりも呼吸が苦しく感じることが多く、精神的にも辛い時期といえます。急性拒絶反応や感染症などが起こりやすい時期で、24時間体制の細やかな治療と看護が行われます。自分の力だけでの呼吸が可能になるまでには個人差がありますが、集中治療室での治療は数日から1ヶ月位は必要です。
集中治療室を出た後は、呼吸器外科病棟の個室に移ります。病棟では肺移植チームの主治医・看護師を中心に退院までの回復期をお世話させていただきます。
数種類の大切なお薬をきちんと内服して頂くための薬剤師による服薬指導、NSTによる栄養・食事指導が開始されます。移植後は体力や筋力の低下により、自力で体を起こすこともできなくなっていますので、さまざまな種類の理学療法により順調な回復をお手伝いいたします。お薬の副作用はないか、感染症や拒絶反応はないか等、病棟主治医は注意深く検査・治療いたします。順調に回復されれば術後2〜3週間で酸素吸入は不用となり、移植後4〜8週間以内に日常生活ができるレベルまで回復して退院が可能となります。屋外での歩行・リハビリトレーニングが完了すれば待ちに待った退院です。
(許可を得て掲載しております)
退院後約1〜2ヶ月間は病院の近くに住んでいただき、毎日リハビリに通院していただきながら、完全な状態まで回復してからご自宅に帰っていただくようにしております。
またその間1〜2週間毎に外来にて診察させていただきます。術後2〜3ヶ月経過すると、ご自宅へ帰ることができますが、その後も定期的な外来通院は必要です。通常移植前の主治医の先生にお願いをしております。
移植後注意していただくこと
拒絶反応: 免疫抑制剤が生涯必要となります。毎日自分で肺活量を測り、拒絶反応の早期発見に努めます。
感染症: 免疫抑制剤により免疫力が低下しているため感染症に注意が必要です。そのため最初の6ヶ月間は生ものの摂取を控える必要があります。手洗いやうがい、マスク着用などの感染予防が重要となります。
薬の副作用: 免疫抑制剤により腎不全、糖尿病、高脂血症、高血圧、リンパ腫(がん)などの合併症を起こすことがあります。
その他: 免疫抑制剤と相性が悪いグレープフルーツ系の柑橘類が食べられなくなります。
退院後、約8割近くの方が生活制限なく過ごされています。もちろん、毎日決められた時間に決められた数種類のお薬を内服する必要はありますが、3ヶ月で日常生活に不自由がなくなり、6ヶ月以内に社会復帰が可能になり、通学やデスクワーク、家事をすることが可能になります。軽いスポーツをすることも可能です。順調にいけば、手術前は重度の肺疾患のために苦しんでおられた生活は、すばらしく改善されます。
どんなに元気になられても、定期的な外来通院をお願いしています。地元の主治医の先生と岡山大学は移植後も連携をとりながら患者さまのフォローを行っています。長期的には免疫抑制剤の量も減っていきますが、定期的な検診は大変重要です。

T. 肺移植の適応基準
| 治療に反応しない慢性進行性肺疾患で、肺以外に患者の生命を救う有効な治療手段が他にない |
| 移植医療を行わなければ、残存余命が限定されると臨床医学的に判断される |
| レシピエントの年齢が、原則として、両肺移植の場合55才未満、片肺移植の場合には60歳未満である |
| レシピエントが精神的に安定しており、移植医療の必要性を認識し、これに対して積極的態度を示すとともに、家族および患者を取り巻く環境に充分な協力体制が期待できる |
| レシピエント症例が移植手術後の定期的検査と、それに基づく免疫抑制療法の必要性を理解でき、心理学的・身体的に充分耐えられる |
U. 適応となりうる疾患
| 原発性肺高血圧症、アイゼンメンジャー症候群、慢性血栓塞栓性肺高血圧症 |
| 特発性肺繊維症(特発性間質性肺炎)、その他の間質性肺炎 |
| 肺気腫、α1アンチトリプシン欠損型肺気腫症、肺リンパ脈管筋腫症、閉塞性細気管支炎 |
| 気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、嚢胞性肺繊維症 |
| 肺サルコイドーシス、肺好酸球性肉芽腫症、じん肺、多発性肺動静脈瘻 |
| その他、肺・心肺関連学会協議会で承認する進行性肺疾患 |
V.除外条件
| 肺外に活動性の感染巣が存在する |
| 他の重要臓器に進行した不可逆的障害が存在する 悪性腫瘍、骨髄疾患、冠動脈疾患、高度胸郭変形症、筋・神経疾患、肝疾患(T-bil > 2.5mg/dl)、腎疾患(Cr > 1.5mg/dl, Ccr < 50ml/min) |
| きわめて悪化した栄養状態 |
| 最近まで喫煙していた症例 |
| 極端な肥満 |
| リハビリテーションが行えない、またはその能力が期待できない症例 |
| 精神社会生活上に重要な障害の存在 |
| アルコールを含む薬物依存症の存在 |
| 本人および家族の理解と協力が得られない |
| 有効な治療法のない各種出血性疾患及び凝固異常 |
| 胸膜に広範な癒着や瘢痕の存在 |
| HIV (human immunodeficiency virus)抗体陽性 |
I.ご連絡のタイミング
NYHA:Class III 以上
HOT(在宅酸素療法)導入後
(閉塞性・拘束性肺疾患)
一秒量:500ml(20% 予測値)以下もしくは肺活量:65%予測値以下
DLCO:30%以下
低酸素血症または高炭酸ガス血症の進行
(肺高血圧症)
平均肺動脈圧:55mmHg 以上 心係数:2.5L/min/m2 以下
II.ご紹介時に可能であれば添付していただきたい検査結果
(経時的な変化のわかるものがあれば複数お送りください)
1)胸部X線
2)胸部・腹部CT
3)肺機能検査
4)血液ガス
5)喀痰培養・感受性検査
6)血液・尿一般検査(一般感染症含む)
7)心エコー・心電図
8)病理学的検査(施行されていれば)
9)心臓カテーテル検査(施行されていれば)
現在の日本では、脳死者からの臓器提供数は非常に限られたものになっています。生体肺移植では、健康な二人の提供者(ドナー)がそれぞれの肺の一部(右あるいは左の下葉)を提供し、これらを患者(レシピエント)の両肺として移植するものです。肺の一部分を提供することから生体肺移植は生体部分肺移植とも呼ばれます。
生体肺移植の適応は原則的に脳死者からの肺移植の場合と同じですが、60歳以上では慎重に評価し移植の適応を決めています。小児への移植も可能です。詳しくはお問い合わせください。
ドナーとなるのは配偶者あるいは三親等以内の血族です(岡山大学倫理規定による)。具体的には、夫あるいは妻、両親あるいは子供、兄弟、姉妹、祖父母、孫、叔父叔母です。血液型は一致する必要はありませんが、適合する必要があります。
レシピエントがA型: ドナーになれるのはA型とO型
レシピエントがB型: ドナーになれるのはB型とO型
レシピエントがO型: ドナーになれるのはO型
レシピエントがAB型: ドナーになれるのはAB型、A型、B型とO型
年齢は20歳以上で、誰からも強要されることのない、自らの愛情に基づいた提供であることが大変重要です。ドナーの条件については、下の表をご参照下さい。
岡山大学における生体肺移植ドナーの条件
| レシピエントの配偶者および三親等以内の血族であること |
| レシピエントと血液型が適合(compatible)すること |
| 年齢20歳以上原則60歳以下であること |
| 最近ウイルス性上気道感染に罹患していないこと |
| 心臓超音波検査が正常であること |
| 心電図が正常であること |
| 胸部X線写真が正常であること |
| 動脈血酸素分圧が空気呼吸下で80mmHgを越えていること |
| 1秒量、努力性肺活量がともに予測値の85%を越えていること |
| 胸部CT像で著明な病変がなく、提供する肺葉が正常であること |
| 提供する手術側に大きな開胸術の既往がないこと |
ドナーは肺を提供することによって約20%の肺活量を生涯にわたって失うことになります。しかしながらこの程度の肺活量の低下は、日常生活や仕事、軽いスポーツを行う上では問題にならないといわれています。女性の場合は提供後の妊娠出産にも影響はないと思われます。
提供のためには事前に2日間の外来での検査があります。手術時には約2週間の入院が必要です。またドナーの手術にもリスクや術後合併症(傷の痛み・出血・感染など)を伴うことがあります。力仕事は術後3ヶ月を過ぎてから可能となります。術後半年くらいまでは神経痛のような痛みを感じたりすることがあります。
これらのリスクをよく理解した上で、愛情に基づいて自発的に同意することが大切です。
岡山大学では、提供をご希望される方のご家族の方々にも、手術の方法やリスクなどを充分ご説明申し上げた上で、ドナーの検査を行うようにしています。また意思確認の際には、ドナーは個別でお話を伺うようにしています。
生体肺移植、及び生体肺移植の臓器提供に関しての詳細は、別ページの肺移植に関するパンフレットのダウンロード(PDF) からご覧になることができます。
肺移植(脳死肺移植、生体肺移植を含む)は保険適応になり、移植を受けられる方の経済的負担は大幅に軽減されています。
それぞれの負担割合、また特定疾患認定をお持ちの方等個人差はありますが、高額療養費の対象となりますので、高額療養費限度額支給(高現給)によって窓口負担を軽減させることができます。保険事務所や市町村窓口で、事前に高現給の手続きを行われることをお勧めいたします。
また脳死肺移植の場合、(社)日本臓器移植ネットワークへ登録時に30,000円の登録料が必要です。登録更新料は年間5,000円です。脳死肺移植が成立した場合には臓器斡旋料100,000円をネットワークに支払います(ただしこれらネットワークへの費用は非課税世帯では免除となります。非課税証明書が必要です)。
岡山大学看護部では4名の移植コーディネーターを配置しております。コーディネーターとは、肺移植を受けられる患者さまと、移植チームの橋渡しをする、移植医療の調整役です。肺移植を希望する患者さまや、移植待機中の患者さまの相談に応じたり、移植を受けられた患者さまが退院したあとも、日常生活の相談や、健康管理のお手伝いをしたりしています。
肺移植に関する疑問や質問など、お気軽にお問い合わせください。


大藤 剛宏(おおとう たかひろ)
岡山大学臓器移植医療センター副センター長
肺移植チーフ
岡山大学肺移植チームは、肺の病気で苦しんでおられる方に、移植によってもう一度すばらしい人生を取り戻していただきたいと願っております。当院肺移植スタッフは、数多くの移植経験によって培われた高い技術だけでなく、常に熱い情熱をもって診療に取り組んでいます。
「移植を受けた日が私の第二の誕生日・・・」。
そういって喜んでいただけることが、私たちの最大のやりがいと心得、ひとつでも多くの命を救うため常に限界に挑戦し続けています。
脳死肺移植までには、臓器提供までの間、ある程度の待機期間が必要なのが現状です。
手遅れになる前に、酸素吸入が始まった時点で早目のご相談をお願いしております。
まだまだ呼吸機能に余力がある方は当院外来にても移植の最適な時機を逸しないように
フォローさせていただいております。
ご病状の程度にかかわらず、どうかお気軽にご相談ください。
大藤 剛宏 (肺移植チーフ)
中谷 文 (肺移植コーディネーター)
岡山大学医学部歯学部附属病院 呼吸器外科医局(第二外科)
TEL:(086)235−7265
FAX:(086)235−7269
岡山大学臓器移植センタ―コーディネーター室
TEL:(086)235−6965